表装とも呼ばれる表具は、古くから芸術や宗教が盛んであった京都を中心として発達してきました。表具は裂地や和紙を材料として、加湿と乾燥の繰り返しのうちに、複雑な何段階もの工程を経て完成させます。
表具の歴史は古く、仏教の伝来とともに中国より伝わり、経巻の表装から始まり、掛け軸などは、仏教の広まりとともに仏画像の礼拝用として始められたものが原型とされています。
今日、表具と呼ばれるものには、襖、壁装など日常生活に密着した実用的な分野と、掛軸、額装、屏風、画帖、巻物など美術工芸的なもの、さらには高度な技術と豊かな経験が要求される古美術の修復まで含まれます。
表具は、それ自体が独立したものではなく、常に書画を鑑賞するうえでの手だてとして成り立つもので、さらには書画を保存するという役目も担っています。目立たず、控えめでありながら、書画と一体の品格ある調和を作り出し、なおかつ表具そのものの品位も損なわないよう工夫することが要求されるのです。
千年の都、京都の美的感覚と、洗練された美意識に支えられ、また湿度の高い盆地の風土に適して発展してきた「京表具」は、床の間の発生や、室町時代末期から桃山、江戸時代にかけての茶道の興隆などと深く関わりありながら発展し、磨かれていったのです。
平成九年には伝産法に基づいて国の伝統的工芸品の指定をうけ、平成十九年一月「京表具」が地域団体商標登録されました。
京表具 (地域団体商標登録 第5020348号)