第64回表美展の受賞作品をご紹介致します。各画像はクリックすると拡大してご覧頂けます。
経済産業省製造産業局長賞
静好堂中島 河村律子「古今和歌集(古筆切)」
この度の受賞に際しまして、嬉しく思うと 同時に、皆様の暖かいご支援に心から感謝いたします。
造形活動には、Head(知識・理解)、Hand(技術・技能)、Heart(感性・感動)が有機的に関連し合うことが必要であると思っています。Hand、Headのみが先行したものは、決して人の心を惹き付けることは出来ないと思い、
日々見慣れたものの中に尚、質の高い感動を
見つけていきたいです。そして、何かをやり続ける事は容易ではありませんが、その何かを求め続ける事が大切だと思い、これからも進んでいきたいと思います。
「新にして真 ひたすら美の求道者たらんとして」活躍することで、皆様に恩返しをしていきたく思っています。
今後とも、どうか宜しくお願いいたします。
近畿経済産業局長賞
静好堂中島 中島文雄「嘉辰令月和合」
この度は、栄え有る近畿経済産業局長賞を頂き誠に有難う御座います。
諸先輩の教えと、若い人達のエネルギーを頂きながらの結果と感謝して織ります。
今回は、京都表具協同組合事務所も会場も新たに代わり挑戦する組合としておおきな変革求めた表美展と私も感じました。
今回は、いつもと同じようなコメントに変え、来展頂きました方からの、お手紙の感想文を記載させて頂きます。
「表美展のご案内をいただき、ありがとうございました。
今日、見せていただきました。
専門的なことはわからないですが、表具のイメージが、大きく変わるようなお仕事も多く、すてきだなあと溜息をつきながら見て回りました。
藍染めを大胆に使われた作品、見事でした、涼やかだし、場所を選ばない作品だと思います。
近くに掛かっていたタンポポの愛らしい絵。色遣いがモダンで(私の目にはそう見えました)洋間でも飾れそうです。
知事賞を受かられていた創作額というのにも興味を持ちました。これまでの重たい額装が敬遠される傾向があって、ごく軽い箱に仕上げる作家さんをこのごろよく見ます。仕上げまで恐らく画家さん本人がやっていると思います。
伝統的な表装のお仕事と現代の洋画、境目がなくなっていくのかなと面白く思いました。
とにかく、美しいものを拝見できて大変幸せな時間でした。ありがとうございました。中谷」
とても嬉しく成り原文のまま記載させて頂きました。
表美展開催に各役員の皆様、組合員のご努力に感謝感謝申し上げます。
京都府知事賞
弘誠堂 田中健太郎「禅」
今年は、京都府知事賞という大変名誉な賞を受賞させて頂き光栄です。
今回は、ほぼ毎年出展させて頂いている掛け軸と違い弘誠堂としては初の巨大な額を出展させて頂きました。
掛け軸と違い作業自体は、そう難しくなく大変なものではありませんでしたが、展示会場への搬入が今作品の一番大変で苦労した点です。(笑)
今回受賞した事に奢ることなく、これからも精進し日々の仕事を全力で、こなしていきたいです。
京都市長賞
静好堂中島 中島稔幸「明歴々露堂々」
この度は第64回表美展におきまして京都市長賞を頂き誠にありがとうございます。
昨年に続き受賞させて頂けたことは今後の仕事の励みとなりました!
今年は事務所移転に伴い表美展も装い新たに生まれかわり、まさに新しい展覧会の型の道筋が見えた気がします。
また作品におきましては大宗匠の若き日の染筆をさせて頂き身の引き締まる思いが致しました。
特に本紙のシミや汚れ落としに苦労したのが印象に残っております。
それが市長賞を頂いたことでよりうちの宝としての価値が高まりました!
この度はありがとうございました。
京都府中小企業団体中央会会長賞
光薫堂 井上利彦「秋初め」
この度は栄えある賞をいただき、お師匠さんをはじめ組合員の皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。
パネル形式の公募展が主流となり、日本画が掛軸や屏風に描かれることが少なくなった現在、若い作家さんに表具という伝統的表現方法に触れていただく機会を設けることも私たちの大切な役割だと思います。今回は京都精華大学芸術学部日本画コース大学院で学ばれた北橋幸乃さんの絹本作品を3尺6曲屏風に仕立てました。
絵画の雰囲気を壊すことなく引き立てながらも、表具の個性を出すことに悩みます。裏張りは楮紙を作品と同系色のグリーン系でグラデーションに染めてモザイクに張り、 縁(ふち)は3面に溝を掘ったキハダを、絵の透明感を意識して濡れ色の透明なOSMO COLOR塗りで仕上げました。全体を引き締めるために縁の表面の溝には金蘭を、裏目と見込みには裏張りと同じ染め和紙を施し小縁(こべり)にしました。
今後も表具に描く魅力を若い作家さんに伝え、その斬新な感性と新しい創造に遅れを取らないよう精進したいと思います。
京都商工会議所会頭賞
藤田雅装堂 藤田幸生「頂 -ITADAKI-」
この度は、このような栄誉ある賞を賜り誠にありがとうございます。
2019年もあらゆる分野で活躍される日本人に感動・勇気をもらい日本人として誇らしく思いました。
また2020年東京オリンピックが開催されますので楽しみです。そこで何か形に出来ないかと思い製作しました。
これからは今回の受賞を励みにより一層の努力を積み重ねて行きたく思います。
皆さま 今後ともご指導の程よろしくお願い申し上げます。
京都府職業能力開発協会賞
尚仙堂 田中浩「渓 流」
この度は、栄えある賞を頂きまして、誠にありがとうございます。
今年は、秋らしい絵画の「渓流」を出品させて頂きました。
本紙には奥深い立体感があり、畳1枚半離れたところから鑑賞すると一番絵の映りが良いと感じました。それならば、裂地も同じ様に畳一枚半離れた状態で一番映りの良いものを取り合せ致しました。
結果、無地に近い秋色の裂地ではんなりと静かな表具になったように思います。
最後になりましたが。この受賞を励みに一層の努力を重ねて参りたいと存じますので、今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
京都新聞賞
静好堂中島 中島匠「ポケモンナイト」
この度は、受賞ありがとうございます。
場所が経済センターに変わるという事で、世代を問わず沢山の人達に目にしてもらえる作品にするために、子供の給食袋の布を使ったり、漆屋さんに無理を言って楽しい額縁にしてもらい、表具の楽しさを伝えればと思い作成しました。
これからも引き続き皆様のご指導の程よろしくお願い致します。
京都府知事賞(青年会)
稲垣清昌堂 稲垣佳昌「山帰来」
この度は、「青年会京都府知事賞」をいただきまして有り難うございました。
令和最初の表美展、京都経済センターでの初開催、ということで大変嬉しく思っております。
今回の作品はシンプルに色づかいを気にして、気軽に飾れるように作りました。
京都市長賞(青年会)
中村表具店 中村心「椿」
この度は京都市長賞をありがとうございました。
今回、青年会では西垣勉先生に野の草花の絵を描いていただきました。
その中で私はこの椿の絵を表装するにあたり花の赤い色をより引き立てる様に
したいと思いました。そこで本紙を少し浮かしその下にアルミ箔を貼っています。
また縁取りは出来るだけ椿の花と同じ色の着物の裂地を使ってみました。
和室や洋室を問わずどんな部屋にでも似合う様にと作っています。
今後も皆様のご指導のもとより良い作品を作っていこうと思います。
京都府中小企業団体中央会会長賞(青年会)
夜天堂 宮岸篤史「秋海棠」
この度、京都府中小企業団体中央会会長賞を賜りありがとうございます。この作品を手掛ける際に植物ということで花言葉を表現することにしました。wiki先生に伺うと、花言葉以外に植物の由来などもわかり、作品の方向性を決めるヒントとなりました。技能士会「ものづくりフェア」にて数年に渡り少しづつ買いためた着物端切れで表現し、スジ王子と称される組合員から教わったスジ割技術を組込んで表美展向きの作品に仕上げました。長年組合に所属し、事業に参加し、先輩方と交流して技術を教えて頂いたことで完成した作品です。これからもよろしくお願い致します。ありがとうございます。